Prime Video Presents Live Boxing 8(井上 VS ネリ)を東京ドーム観戦した話

5月6日に東京ドームでボクシング(井上尚弥 VS ルイス・ネリ)を観戦した感想です。

格闘技を会場生観戦したのは、2019年末のベラトール大会以来です。約4年5カ月ぶりですね。2020年からは家庭状況の変化やコロナの発生もあって、会場生観戦したいという気持ちはしばらくほとんどなかったです。2023年頃から、家庭状況もコロナも少し落ち着き、何か会場観戦したいと思う大会があれば・・・とタイミングを探っていた中で、三十何年ぶりに東京ドームにボクシングが開催され、井上尚弥選手の試合が見れて、対戦相手も良くも悪くもキャラが濃くて、格闘技には欠かせない「必要悪」の雰囲気がある選手ですから、興味を惹いてチケット応募したところ当選しましたので観戦に行きました。

東京ドームに行くのは初めてではないものの、東京ドームで格闘技を見ること、ボクシングを会場観戦することは初めてです。格闘技(主にMMA)を見続けて既に20年以上経ってますが、ボクシングは興味がある試合はたまに見る程度でした。それが井上尚弥選手を認識した2019年頃からは、この選手の試合だけは見たい!と思うようになって、欠かさず見ていました。毎年の格闘技観戦振り返り記事でも、近年はほぼ必ず名前を出していたと思います。

さて、当日の東京ドームは大混雑・・・と思いきや、時間にある程度の余裕をもっていったのと、
東京ドーム内外は広く、外と中でも人々は拡散している様で、特別に人が多くて混雑しているとは感じなかったです。まあ、大イベントならこれぐらい普通に集まるよねの範疇と言いますか、人が多い時のたまアリと同程度に感じました。座席は雰囲気を味わえればそれで良いとさほど期待してなかったのですが、それなりに近くて、攻防が見えないわけではなかったので、結構よかったです。ただ、ロープが若干邪魔だったので、もう少し高さがあった方が、
遠くはなるけど全体の動きは見やすかったかも?と思いました。(座席から撮った写真です)

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以下は各試合の雑感です。

第1試合 T・J・ドヘニー VS ブリル バヨゴス
これが初のボクシング生会場観戦試合でした。これまでに50回程度観戦しているMMAと比較をしながら、興味深く見ました。違いとしては、MMAは打撃でも寝技でも、決まるときは一気に試合が動くのに対して、ボクシングはパンチだけの攻防なので、一見すると同じシーンを見ているようで、ダメージや疲労の蓄積によって、少しずつ動きが変わっていく印象を持ちました。

第2試合 ユーリ 阿久井 政悟 VS 桑原 拓
前に出て圧力をかけるボクサーと距離を取ってアウトボクシングするボクサーと、それぞれのタイプが分かりやすく出ていました。12ラウンドの試合を見たのも初めてで、6ラウンドぐらいで「まだ半分?」という感覚になりました。途中で飽きるということはなく、見るだけでも多少疲労するのに、12ラウンド戦い抜くことの過酷さを感じました。

第3試合 井上 拓真 VS 石田 匠
実はこの試合の入場から2ラウンド目ぐらいまではトイレ待ちで見れていません。東京ドームのトイレ並びがあんなに凄いとは思わず、行ったタイミングが少し悪かったです。前に並んでいたオジサンは試合が見たくて相当焦れた様子でした。試合は両選手の応援団が盛り上がっていたけれど、勝手な印象ではそれ以外のボクシング観戦に不慣れな客(自分含む)は、少し集中力が欠けて、ブレイクタイムを挟んでいた感じです。試合内容が悪いとかではなく、この後のセミ・メインに向けての…という感じですね。

第4試合 ジェイソン・モロニー VS 武居 由樹
武居選手の試合は、K-1時代はネット映像で結構見ていました。生で見るのはこれが初めてです。相手のモロニーも試合は見たことないながら「怪物に出会った日」という本を読んで認識していました。序盤は「ああ、これは武居選手が倒してしまいそう中盤~終盤にかけて雲行きが暗転していき、12ラウンド終えた直後は「良い試合だったけど、負けかな」という雰囲気になっていて、勝ちという結果に私の周りの席は少々驚いていました。でも判定は僅差ではなく結構な差があったので、12ラウンド目の印象が強すぎただけでボクシング的には妥当な判定なのですかね。モロニーは手数では明らかに負けていたので、12ラウンドの攻防をもっと前に出せれば…という感じでしょうか。

第5試合 井上 尚弥 VS ルイス・ネリ
この試合を見るためにチケットを買った結果、この試合を見るために買って良かったと思えました。過去に会場生観戦して自分含め盛り上がりが最高潮に達していると感じたのが以下3試合です。
①ミルコ VS ヒョードル(ヘビー級最強を決める戦いとミルコのロードtoヒョードル)
②三崎 VS 秋山(当時最大のヒールだった魔王秋山の存在感と試合の逆転劇)
③ヴァンダレイ VS スタン(ヴァンダレイ凱旋と真っ向からのぶん殴り合い)
で、今回の試合は井上尚弥というボクシング界の最強スーパースターの試合が見れる高揚感と、ネリの過去騒動と悪童っぷりから、何かやらかす感が試合前を盛り上げてくれました。格闘技への熱量・興味が①~③の当時に比べれば、半分程度に落ちていても、ドキドキさせてくれますね。

試合内容はもう言葉で書くよりも、実際の映像を見
てくださいという感じですけど、一応書きます。1ラウンドの井上選手ダウンシーンは、4万人が「おいおいおい…嘘だろ…」という、期待していたものカイジの「ざわざわ・・・」状態でした。私は「この世にやっぱり絶対は無いのか…」と、格闘技の残酷性から来る「思ってたんと違う!!」という感覚を味わっていました。後日には、むかし有明コロシアムで見た、PRIDE武士道の五味VSアウレリオ(1回目)を思い出しました。あの時は五味選手がPRIDEで10連勝していて、ただただスカ勝ちを見に行くつもりで気楽に観戦したら、あっけなく一本取られて負け、帰りに自分含め観客がトボトボと帰って行ったのです。一歩間違えれば、あれ以上の喪失感、日本ボクシング界の大損失となる結末になったかもしれないのだから恐ろしいですね。

1ラウンド目は井上尚弥選手史上最大のピンチだったわけですが、後で語られているのは、そんな最大のピンチにおいても、当の本人は練習通り、イメージ通りの対応をして、切り抜けていたということです。これだけ長く最強と言われれば、ピンチになんかならないと考えてもおかしくないのに、誰よりもそれを冷静にやってのけるということが驚異ですね。2ラウンド目以降は、期待していた、いや1ラウンド目のピンチがあったが故に、期待以上、想像以上の圧倒的なパフォーマンスだったと思います。ラウンドを追うごと、ダウンを奪う度に会場のボルテージが上がり、KOシーンはまさに壮観、総立ちの会場大爆発でした。ネリもドーピングや体重超過はどうしようもない最低悪ですが、今回の試合に関してはまさに「必要悪」の存在感とパフォーマンスで、良かったです。ルール違反をしないなら、また試合を見たい選手だと思わせてくれました。


ここまで会場が爆発し、満足度が高かったことは50回以上観戦していても稀です。それもこれもメインに尽きます。ただ、全体通してボクシングの初会場観戦としても興味深くて楽しめました。ということで、久しぶりの格闘技生観戦は結果的に大満足でした。次にいつ見に行くか分かりませんが、またこんなものを見れる期待があるのだから、井上尚弥選手の試合を見たいですね。そう、もしも、怪物に挑む神童というカードがいつの日か組まれたのならば…。

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