2018年度このミス国内版の8位受賞を見て知った作品です。
タイトルとごく簡単なあらすじを知っていたのと、
ミステリとしての評価は8位止まりなものの、
2018年の本屋大賞にも選ばれており、前評判の高さもあって
読んでみたい本でした。偶然祖母の家にあったので、
2019年になって借りてきて一気に読みしました。
読んだ感想としては率直に「一気読みするほど面白かった」
「最後まで読んでスッキリした」「時間とって読む価値あった」です。
宣伝する表現に「泣ける!」とか「感動した!」とか煽られてますけど、
あまり具体的な先入観は持たずに読んだ方が良いと思います。
この本に限らずですが、過剰な謳い文句で得することって、
多くないのでは…?。とにかく本を読んで泣きたい人の
センサーに引っかかりはするかもしれないけれど、
ニュートラルに楽しむには、少々の重荷にもなります。
(と言うのは、感想書く側にも当てはまることなので注意しなければ)
この本は、ヒューマンドラマ、SF、ミステリの3つのカテゴリに分けて
楽しめます。ヒューマンドラマとしては、今現在中〜高生の男女から、
子を持つ親世代まで幅広く共感できると思います。
物語の主人公は子供達だけど、読む側は大人の目線で考えさせられるし、
自分がかつて子供だった頃を思い出して、少しでも「学校嫌だな」
と思ったことがある人ならば、センチメンタルになると思います。
SFの観点では、まぁまぁよくある設定?かもしれませんが、
いい具合に現実と非現実の調整がされているので、
私は引っかかることはありませんでした。ガチガチの合理主義者や
徹底的リアリストからすれば、整合性が取れないこととか、ツッコミどころはあるにせよ、
ティーン向けのメルヘン要素と捉えれば、許容できるでしょう。
どうしてもそこが徹底的に気になる人、許せない人は
そこだけ目を瞑るか、こういう物語は楽しめないと諦めるしかないですね。
ミステリとしては、「なぜ子供たちはかがみの城に集まったのか?」
という観点で明確な答えがあるため、ホワイダニットが成立しています。
これはもし途中で解けてしまったとしても、物語の面白さは損ないません。
予想できそうな仮説を立てまくれば当たる人も多いでしょう。
でも、実はさらに一つ、二つとミステリ的な仕掛けがされているので、
最後の最後まで読めば、ハッとさせられることがあると思います。
最後に特筆したいのは、とてもスッキリ読みやすい小説ということです。
これまでほとんど小説読んだことがない人にもおススメできます。
新書の分厚さで敬遠されそうですけど、活字アレルギーがなければ、
ぜひ「趣味は読書」にするはじめの一歩として、如何でしょうか。
いずれ映画化とかしても驚きませんが、小説(原作)を超えるのは
容易ではないので、きっと読んで損はありませんよ。
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